ディレクター / 飯沢耕太郎
プロフィール
1954年 宮城県生まれ
1977年 日本大学芸術学部写真学科卒業
1984年 筑波大学大学院芸術学研究科博士課程修了
以降、フリーの写真評論家として活躍
「写真新世紀」「写真1_WALL展」「岡山県美術展覧会」など、
多くの公募写真展の審査員を務める。
『写真美術館へようこそ』
『写真的思考』 『きのこ文学名作選』『深読み!日本写真の超名作』
『現代日本写真アーカイブ』等、著書多数。
「倉敷フォトミュラル2023 」総評
20年以上続いてきた倉敷フォトミュラルも、今回が最後の展示ということになります。よく続いてきたものだと自分でもやや驚いていますが、企画内容がとてもよかったのと、倉敷市文化振興財団、倉敷商工会議所、岡山県立大学SAKURA Projectなど、関係者の皆様のご尽力の賜物だと思います。あらためてお礼申し上げます。
今年は応募者数が408人(「華」部門194人、「ねこらいふ」部門214人)と過去最多になりました。応募点数も1577点(「華」部門776点、「ねこらいふ」部門801点)と過去最高を更新しています。審査しながら、応募者の皆さまの意欲の高まりを感じることができました。目に見える成果があらわれたことは、とてもよかったと思います。
ちなみに「華」というテーマは、第一回公募の時と同じです。その時の作品を思い返してみると。内容、技術ともにはるかに高度なものになっています。秋の倉敷を彩る行事が、これで終わるのは残念ですが、皆さんの表現意欲の高まりは、きっとどこかで実を結ぶことでしょう。
一昨年からスタートした「ねこらいふ」部門も、さらに盛り上がりを見せています。素晴らしい作品が多すぎて、「華」部門以上に選ぶのに苦労しました。被写体としての「ねこ」の面白さは当然ですが、それ以上に飼い主や撮影者との親密な交流を感じさせる写真が多数寄せられたのが印象的でした。
毎年、二度は必ず訪れていた岡山、倉敷の思い出は尽きません。審査を通じていろいろな出会いがありました。またどこかでお目にかかれることを心から願っております。
飯沢耕太郎(写真評論家)
主催者挨拶
「倉敷フォトミュラル開催にあたり」
2004年から、倉敷駅前アーケードを主たる展示会場として、大型布プリントを用いた写真作品を展示してきた倉敷フォトミュラルは、今年20周年を迎え、そして最後の展示となります。
今年テーマとした「華」は、20年前の最初テーマでした。以降、多くのテーマで作品を募集しましたが、最後のテーマとしては、万感の思いを託し、再び「華」としました。
お陰様で、今年も多くの方から「華」テーマ、そして「ねこ」テーマ、それぞれに対してご応募いただき、結果として最多の応募者数と応募作品数を数えることができました。
展示会場とした倉敷駅前アーケードを最初に見たとき、昭和の面影を色濃く残した雰囲気と、長く連なる構造に展示会場としての魅力と可能性を感じました。倉敷フォトミュラルは、大型の写真作品が連なる展示と共に、この“場”を楽しむことのできる企画なのです。そして、多くの応募作品の中から、1人のディレクターにより、テーマに基づいたセレクションを経て、展示の順番や場所も決定することで、展示自体が1つの作品となるよう構成されています。
全国でも類を見ない屋外写真作品展示です。是非、倉敷美観地区へも通じる倉敷駅前アーケードに直接出向き、魅力溢れる作品を堪能いただくと共に、同様に魅力ある商店街を探訪していただければと思っております。
長きにわたり、様々な方々から、多大なるご支援、ご協力を賜りましたことを、この場を借りて御礼申し上げます。